【30秒でわかる!記事の要点まとめ】
- ニノなのにで紹介される県境の家は「練馬区と新座市」の境界エリアが有力
- 固定資産税は面積按分で「両方の自治体」に支払う義務がある
- 住所は基本的に「玄関がある位置」で決まる(二重国籍にはならない)
- ゴミ出しや110番通報など、生活インフラには「越境」ならではの不便が多い
東京都に住んでいるはずなのに、家の中で一歩動くと埼玉県?そんな不思議な生活を送る「県境の家」が注目されています。2026年2月11日放送の『ニノなのに』では、東京都と埼玉県をまたいで建つ謎の家が登場し、その驚きの生活実態が明かされる予定です。
「税金はどっちに払うの?」「住所はどうやって決めるの?」といった素朴な疑問から、実際に住んでみないと分からない意外な苦労まで。今回は、番組を見る前に知っておきたい「県境の家」に関する法律や生活のリアルを徹底的にリサーチしました。
【県境の家】場所はどこ?東京都練馬区と埼玉県新座市の境界線にある「またぐ家」の正体
テレビ番組『ニノなのに』で特集される予定の「県境の家」。東京都と埼玉県という、首都圏でも人口密度の高いエリアにありながら、家の敷地内を県境線が走っているという稀有な物件です。実は、このような「県境またぎ」の住宅は、東京都練馬区(大泉学園町・西大泉)と埼玉県新座市(栄・片山)の境界エリアに集中して存在していることが知られています。
地図を見ると一目瞭然なのですが、このエリアの都県境はジグザグに入り組んでおり、場合によっては住宅地の中を斜めに境界線が横切っています。なぜこのようなことになっているのでしょうか。この地域の境界線は、かつての農道や水路、あるいは古い所有地の境界に基づいていることが多く、後から大規模な区画整理が行われないまま宅地化が進んだ場所で起こりやすい現象です。
特に有名なのが、練馬区西大泉町にある「飛び地」です。周囲を完全に埼玉県新座市に囲まれているのに、そこだけ住所が「東京都練馬区」というエリアが存在します。この飛び地の境界線上や、その周辺の複雑なエリアに家を建てると、必然的に「敷地の一部が東京、一部が埼玉」という状態が発生してしまうのです。番組で紹介される家主の方も、こうした地理的な条件の上に住居を構えていると考えられます。
家の中に県境があるということは、物理的に「寝室は東京、トイレは埼玉」といった生活が可能になります。これはネタとしては非常に面白いのですが、実際にそこで暮らす家主にとっては、笑い事ではない複雑な手続きやルールの連続です。特に、このエリアは閑静な住宅街でありながら、行政の管轄が入り乱れているため、近隣住民の間でも「あそこの家は東京」「お隣は埼玉」といった認識のズレが日常的に発生しています。
番組の予告では「東京都?埼玉県?」というクイズ形式のような煽り文句が見られますが、正解は「どちらでもあるようで、法的にはどちらか一つ」という非常に曖昧かつ厳格な状態なのです。次の章からは、その具体的な「お金と住所」の話を深掘りしていきましょう。
Googleマップで「練馬区西大泉町 飛び地」と検索すると、埼玉県の中にぽつんと存在する東京都の区画を確認することができます。この境界線を拡大してみると、建物の上をラインが通過している箇所がいくつも見つかります。航空写真と照らし合わせると、明らかに一軒家の中庭や屋根を県境が横断している様子が見て取れます。
固定資産税はどうなる?県境をまたぐ家の「税金・住所」決定ルール
県境の家に住むにあたって、最も現実的で切実な問題が「お金(税金)」と「身分(住所)」の話です。「半分東京で半分埼玉なら、税金も半分ずつ?」と思われるかもしれませんが、実はその通りであり、同時に非常に面倒な手続きが発生します。
土地や家屋が県境をまたいでいる場合、それぞれの自治体(例:練馬区と新座市)から固定資産税が課税されます。その計算方法は、それぞれの県側にある「面積の比率」に応じて按分されるのが一般的です。つまり、一つの家に対して、東京都と埼玉県の2箇所から納税通知書が届き、それぞれに支払う必要があります。
例えば、敷地の60%が東京都、40%が埼玉県にある場合、評価額に基づいて計算された税金をそれぞれの役所に納めなければなりません。合算して一度に払うことができないため、管理の手間が2倍になります。これが「県境の家主」が抱える最大のデメリットの一つと言えるでしょう。それぞれの自治体で評価額の基準や税率が微妙に異なる場合もあり、計算が非常に複雑になります。
また、住宅ローン控除や各種補助金の申請時にも、「どちらの住所で申請するか」「対象となる面積はどう計算するか」といった確認作業が必要になり、一般的な住宅購入よりも手続きが煩雑になる傾向があります。リフォームや増築をする際も、両方の自治体の建築基準法や条例を確認しなければならず、建築確認申請の手数料も二重にかかる可能性があるのです。
次に「住所(住民票)」の問題です。日本国内において、一人の人間が同時に2つの住民票を持つことはできません。では、県境の家の住人は「東京都民」なのでしょうか、それとも「埼玉県民」なのでしょうか。
これには行政上の明確な決定ルールが存在します。一般的には「玄関がある位置」を基準に住所を定めます。もし玄関も境界線上にある場合は、寝室など「主たる居室」がどちらにあるか、あるいは床面積が広い方はどちらか、といった実態を考慮して、役所との協議の上で決定します。一度「東京都練馬区」として住民登録をすれば、選挙権も東京都のものになり、住民税も練馬区に納めることになります。たとえ家の半分が埼玉であっても、法的には「東京都民」として扱われるのです。
ゴミ出しは?学校は?県境の家主が直面する「生活の不便すぎるリアル」
「住所が決まれば一安心」かと思いきや、生活の現場では「縦割り行政」の弊害が家主を襲います。その代表例がゴミ出し問題です。
県境またぎの生活1:ゴミ捨て場問題と指定収集袋の罠
ゴミの収集は、市区町村ごとの管轄です。したがって、たとえ目の前の道路の向かい側に「埼玉県のゴミ集積所」があったとしても、住民票が東京都にある家主はそこを使うことができません。東京都の指定収集袋を使い、場合によっては数百メートル離れた「東京都側の集積所」までゴミを運ばなければならないのです。
近所付き合いの中で「越境ゴミ出し」が黙認されているケースも稀にありますが、基本的にはルール違反となります。分別ルールも自治体によって異なるため(プラスチックの扱いなど)、隣の家の住人とゴミ出しの話が噛み合わないこともしばしばです。
例えば、東京都(23区)ではプラスチックを「可燃ごみ」として出す地域が多いですが、埼玉県側では「資源ごみ」として厳密に分別する必要があるなど、道路一本隔てただけで常識が全く異なるのです。指定ゴミ袋の値段も異なるため、経済的な損得勘定が発生することもあります。
県境またぎの生活2:緊急通報(110番・119番)の転送ラグ問題
携帯電話から110番や119番にかけると、電波を受信した基地局の位置によって、管轄の警察本部や消防指令センターにつながります。県境付近では、自宅(東京)からかけているのに、電波が隣の県(埼玉)の基地局に拾われてしまうことが頻繁に起きます。
「火事です!」と通報しても、最初に出たのが埼玉県警や埼玉の消防で、「場所はどこですか?」「練馬区の〇〇です」と答えると、「では警視庁(東京消防庁)に転送しますね」というやり取りが発生します。この転送には数秒から数十秒のタイムラグが生じます。一刻を争う緊急事態において、このロスは精神的にも大きな負担となります。固定電話であれば登録住所に基づいて確実につながりますが、スマホ社会の現代においては見過ごせないリスクです。GPS機能の向上で改善されつつありますが、県境エリア特有の「魔の空白時間」は依然として課題です。
県境またぎの生活3:学校選択のジレンマ(越境通学)
お子さんがいる家庭では「学区」も大きな問題です。原則として、住民票がある自治体の公立小中学校に通うことになります。しかし、地理的には「埼玉県の学校の方が圧倒的に近い」というケースも多々あります。こうした場合、多くの自治体では「区域外就学(越境通学)」を認める柔軟な対応をとっていますが、あくまで例外措置であり、事前の申請や協議が必要です。登校班の編成や、地域の子供会への参加など、学校生活以外のコミュニティにおいても「どちらに所属するか」という判断を常に迫られることになります。
なぜ県境に家を建てた?複雑な境界線が生まれた歴史的背景
これほど不便なことが多いのに、なぜわざわざ県境をまたぐ場所に家が建っているのでしょうか。そこには、都市開発の歴史的な事情が関係しています。
練馬区と新座市の境界エリアは、かつては一面の畑や山林でした。当時の境界線は、小さな水路やあぜ道、あるいは地主の所有地の境目によって決められていました。これらは必ずしも直線ではなく、自然の地形に合わせて蛇行していたり、凸凹していたりします。
高度経済成長期以降、急激に宅地化が進んだ際、大規模な区画整理を行って境界線をまっすぐに引き直すことをせず、昔の境界線のまま宅地造成が行われた場所があります。その結果、四角い家の敷地の中を、昔のままのギザギザした県境線が突っ切るという状態が固定化されてしまったのです。
また、中には「県境マニア」として、あえてそのような土地を購入したり、境界線を楽しむために住んでいる人もいます。家の中に境界線を示すテープを貼ったり、表札を2つ掲げたりと、不便さを逆手にとって楽しんでいる家主も存在するようです。番組のリポーターであるワタリ119さんが取材するのは、おそらくこうした「あえて楽しんでいる」タイプの家主、もしくは「先祖代々の土地がたまたま県境だった」という地元の方ではないかと予想されます。
【ニノなのに】他にもある!日本全国の有名な「県境またぎ物件」たち
今回番組で取り上げられる練馬区・新座市の家以外にも、日本にはユニークな「県境またぎ物件」がいくつか存在します。
| 名称 | 場所(県境) | 特徴 |
|---|---|---|
| 渋峠ホテル | 群馬県・長野県 | 建物の中央を県境が走っており、壁や床に境界線が描かれている。宿泊証明書にも県境またぎのスタンプが押される。 |
| イオンモール高の原 | 京都府・奈良県 | 巨大ショッピングモールの中に県境がある。店舗によって納税先が異なるという複雑な運営を行っている。 |
| 三県境ショップ さいぐんと | 埼玉県・群馬県・栃木県 | 全国的にも珍しい「3つの県」が平地で接するポイントにある道の駅近くの施設。 |
これらの施設は観光地化されていたり、商業施設として運営されていますが、個人の住宅で県境をまたいでいるケースは、やはり生活の苦労と隣り合わせの「特別な日常」があると言えるでしょう。

